児童発達支援とは?利用方法や支援内容、対象年齢など【基礎知識】
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- 2月18日
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更新日:3月6日
児童発達支援とは?
児童発達支援とは、児童福祉法に基づいた「発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さま」の通所支援のことです。発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さまに対して、日常生活における基本の動作や知識、集団生活を送るためのトレーニングをします。
児童発達支援を受けることで、日常生活や社会生活に対する不安や悩みが軽減され、親子ともに笑顔で生活を送ることが目標です。
例えば、
・座ってスプーンや箸などを使用しご飯を食べる・ひとりでトイレにて排泄する・着替えをおこなう・話す・書く・聞くなどのコミュニケーション方法
などです。
「発達に心配や支援が必要」と診断されたお子さまが児童発達支援を受けると保育園、幼稚園やご家庭での生活がより円滑に行えるようになります。お子さんの将来の不安も軽減されることでしょう。
児童発達支援と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、不安なことがあれば、お住みの市町村区役所や小児科、児童発達支援センターなどに相談へ行くことをおすすめします。
児童発達支援の対象年齢は?
児童発達支援を受けられるのは未就学児(0〜6歳)です。小学校に入ると保育園等以上に集団での生活が多くなるので、未就学児の頃から集団生活に慣れておくことが大事です。
6〜18歳のお子さまは「放課後等デイサービス」にて支援を受けられます。
※高校卒業後も市町村が支援が必要だと判断された場合には、満20歳まで放課後等デイサービスの利用の延長が可能です。
児童発達支援を受けていたお子さまが成長し、放課後等デイサービスを継続的に利用することで長期にわたり絶え間なく支援を受けることができます。
児童発達支援の支援内容は?どんなことをするのか?
厚生労働省の児童発達支援ガイドラインでは、児童発達支援の支援内容は大きく分けて3つあります。
・発達支援(本人支援・移行支援)・家族支援・地域支援
【本人支援】
本人支援とはお子さまが日常生活や社会生活をスムーズに送れるように5つの面からサポートをおこなうものです。
(1)健康と生活
安全な生活を送れるように、心身共に健康かどうかの観察をおこないます。 また、基本的な生活スキル(食事、着替え、トイレでの排泄、身の回りの清潔など)を身につけるために、出来ないところや苦手なことをお子さまひとりひとりに合わせて援助をします。
施設内でのトレーニングと合わせ、ご家庭での生活の中でもできるようにご家族さまと連携を取り、生活リズム・動作が整うように環境を整えていきます
(2)運動と感覚
姿勢の保持や運動能力の向上をサポートします。筋肉をつけることやバランス感覚、空間認知力などの感覚を育むためには、運動や作業を通して楽しく適切な刺激が大切です。
風船・ボール投げやお絵描き、シール貼りなどの遊びを通して体全体の動きから指先の細かい動きまで、発達を促します。
目が見えにくい、耳が聞こえにくい、感覚過敏にて音が大きく聞こえてしまうなどのお子さまに応じて、メガネや補聴器、イヤーマフなどを活用できるようにサポートします。 発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さまは自分の思いを相手に伝えるのが難しいです。支援者が日々の様子を観察し、必要な補助器具を提案できるように援助します。
(3)認知と行動
視覚や聴覚、触覚などの感覚を利用して必要な情報を得られるように認知機能の向上を支援します。目の前にある情報を得るだけではなく、情報を生かして次にどのように行動したらよいのかを自分で考える必要があるからです。
例えば、物の形、大小、重さ、色、数量、音など。数量や時間などは特に理解するのが難しいので、絵や写真など視覚、実際に触って感じる触覚など様々な感覚にアプローチしていく必要があります。支援者はさまざまな媒体を使用して子どもが理解できるようにサポートしていきます。
認知機能に障害がある場合は、こだわりが強く出やすい・偏食がある・生活を送るうえで問題となる行動がみられること(例えば、バスは決まった席にしか座らない・決まったものしか食べないなど)もあります。認知機能の向上を手助けし、行動障害の予防が大切です。
(4)言語とコミュニケーション
物と言葉の認識をつなげることや、会話だけでなくジェスチャーや読み書きなどでもコミュニケーションが取れるようにします。
自分の思いを伝えることが難しいと、ストレスがたまってしまい、癇癪につながる・物や人に当たってしまうなどの行動につながるかもしれません。伝え方を学ぶことで行動障害を予防することにもつながります。
また、コミュニケーション能力を高めていくことで、学校生活や大人になってからの社会生活を円滑に送れる基盤をつくることができます。 自分の思いを伝えられるように発語のサポートをしていくとともに、相手の話す言葉・思いを理解できるようにサポートが必要です。
もちろん、コミュニケーションをとる方法は会話だけではありません。発語が苦手なお子さまもいます。ジェスチャー・点字・文字の読み書き・絵カードなどその子に合ったコミュニケーション方法をさがしていきます。支援者はお子さまのコミュニケーション方法を決めつけず、手段を狭めないような関わりが大切です。
(5)人間関係と社会性
人間関係を良好に保つために、他者とのかかわり・集団行動にアプローチした支援をします。
お子さまが笑顔で他者と関わるためには、愛着形成が大切です。これは全てのお子さまにとって必要なことです。愛着形成とはお子さまと養育者との間に心の絆をつくることで、信頼関係を築くことです。
お子さまが保護者や支援者と信頼関係を築くことで、人への思いやりの気持ちを持つことや情緒の安定につながります。支援者は日々接することで信頼関係をつくり、お子さまのできることを増やしていけるようにします。
また、生活していくうえで集団の中に入ることは必要不可欠です。集団のなかでのルールを理解して、指示を聞く・じっとしている・周りと合わせるなどの行動ができるように支援します。
【移行支援】
移行支援とは、すべてのお子さまが共に成長できるように、可能な限り地域の保育・教育を受けられるようにするとともに、同年代のお子さまとのかかわりをつくっていく支援です。
発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さまの発達状況を理解し、ご家族さまと相談をしながら地域の保育所などに入れるように支援していく「後方支援」も児童発達支援のひとつです。
保育園などの集団のなかで生活できるように、発達の評価・移行先との調整・移行先の環境評価・ご家族さまとの話し合いなどおこないます。移行先でスムーズに生活になじめるように、お子さまひとりひとりの特性に合わせた関わりが重要です。
【家族支援】
家族支援では、お子さま本人の援助だけではなく、ご家族さまが育児に前向きになれるようなケアが必要です。
ご家族さまにも支援をおこなうことで、お子さまを支える環境を整えることになり、暮らしが安定することにもつながります。
具体的には、情報提供・支援者からの発達状況の共有・個別相談・お子さまとのかかわりやコミュニケーションに関する相談や助言などです。親だけではなく、兄弟姉妹に対しても精神的フォローや関わりの指導をおこないます。お子さまを一時的に預かる「レスパイト」のような役割も担っています。
発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さまを育てるうえで、将来に対して心配や不安が出てくることもあるでしょう。支援者はご家族さまが相談しやすいような環境を整えるので安心して生活を送ることができます。
【地域支援】
地域支援は、保育施設・医療機関・市区町村・児童相談所・保健所などの関係機関と連携を取り、地域の子育て環境を整える支援です。
お子さまの生活は、施設の中だけでは終わりません。地域と連携を取ることで発達に心配のあるお子さまや支援が必要なお子さまが施設を卒業後も社会で安心して生活できるように支援していきます。
地域の子育てに対する意識の向上のために、関係機関と電話やメールにて連絡を取り合うことや、定期的な会議をすることが必要です。
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